研修費用

研修後に従業員が退職した場合、中国の使用者は費用を回収できるか

中国の従業員が海外の技術研修を受けた後に辞職し、本社が人事部門に研修予算の全額回収を求めています。署名済みの返還条項と高額の請求書だけでは足りません。使用者は、要件を満たす研修、有効な服務期間の合意、責任を生じさせる退職事由、未履行期間に対応する金額を証明する必要があります。返還請求の前に、これらを確認します。

1. 従業員が実際に受けた研修の内容を確認する

「中華人民共和国労働契約法」第22条は、使用者が特別の研修費用を負担して専門技術研修を行う場合に、従業員との服務期間の合意を認めています。第25条は、従業員に約定違約金を負わせられる場合を第22条・第23条の事情に限定しています。入社時の説明、日常の業務指導、本社訪問をすべて「研修」と呼ぶだけでは、第22条の要件を満たしません。

研修契約、カリキュラム、技術上の目標、講師情報、参加・修了記録を保存します。研修と商務を兼ねる海外出張では、研修と通常業務の各日程・活動を区別します。合意の対象となる雇用法人と従業員を確認します。グループ共通規程だけでは、個々の従業員との服務期間合意を証明できない場合があります。

2. 社内予算ではなく、算入できる実際の費用を確認する

「中華人民共和国労働契約法実施条例」第16条の対象は、使用者が専門技術研修のために支払った証憑のある研修費用、研修中の旅費、研修により生じた当該従業員のためのその他の直接費用です。請求書を支払記録、返金、参加記録と照合します。集合研修では各参加者の負担配分を説明し、全員分の請求額を一人の退職者に割り当ててはいけません。

本社や関連会社が支払った場合、支払記録と会社間の費用配賦記録を保存し、中国の使用者に帰属する支出を証明できるか検討します。親会社の予算を子会社の回収可能費用と決めつけてはいけません。通常賃金、一般管理費、通常の商務出張費をそのまま研修費総額に加えることもできません。第22条は、服務期間中も通常の賃金調整制度による報酬引上げを妨げないと定めています。

3. 退職理由と服務期間の日付を確認する

第37条による通常の辞職だけで、有効な研修服務期間の義務が消えるわけではありません。ただし実施条例第26条は、従業員が第38条に基づき解除する場合を服務期間合意の違反から明示的に除外しており、その解除を根拠とする研修違約金は請求できません。未払報酬、法に従った社会保険料納付の欠如、その他第38条の事由の主張を、元の記録と照合します。

使用者からの解除が当然に研修服務期間の違反になるわけではありません。第26条は5つの事由を列挙しています。重大な規程違反、重大な職務怠慢または私利目的の不正により重大な損害を生じさせた場合、他の使用者との同時雇用により本来の業務に重大な影響を与えた場合または是正を求められても拒んだ場合、詐欺・強迫・窮状の利用により使用者の真意に反して契約を締結・変更させた場合、法に従い刑事責任を問われた場合です。請求には該当事由と契約上の義務の証明が必要であり、この列挙をすべての人員削減や業績を理由とする解雇に広げてはいけません。

合意した服務期間の開始日・終了日、履行済み期間、変更内容を確認します。実施条例第17条により、第22条の服務期間が満了する前に労働契約が満了する場合、別段の合意がない限り、契約は服務期間の満了まで延長されます。元の労働契約満了日だけで債務額を計算してはいけません。

4. 約定額と法定上限の両方を適用する

第22条には2つの制限があります。約定違約金は使用者が負担した研修費用を超えてはならず、実際の請求額は服務期間の未履行部分に配分される費用を超えてはなりません。履行済み期間にかかわらず全額返還を求める条項も、残存期間に基づく上限で審査する必要があります。有効な合意と証明済み費用に基づいて計算し、辞職後に任意の金額を決めてはいけません。

計算例にすぎません。立証済みの対象費用を60,000人民元、服務期間を36か月、履行済み期間を24か月と仮定します。残り12か月に対応する比例上限は20,000人民元(60,000 × 12 ÷ 36)です。有効な約定額がこれより低ければ、請求はさらに制限される場合があります。この計算は実際の裁判結果ではなく、合意、研修の適格性、退職に伴う責任の条件が欠ける場合に、従業員の責任を証明するものではありません。

5. 特別待遇の賠償と研修違約金を区別する

2025年9月1日施行の最高人民法院労働紛争司法解釈(二)第12条には別の規則があります。通常の労働報酬以外の特別待遇と服務期間の合意があり、従業員が第38条に該当せず、その合意に反して早期解除した場合を対象とします。法院は、実際の損失、各当事者の過失、履行済み期間などを総合して賠償責任を判断できます。すべての入社時給付や転居手当を自動的に全額回収できる権利ではありません。

各給付を実質に基づいて分類し、待遇に関する合意と実際の提供証拠を保存し、損失を特定してから請求根拠を選びます。通常賃金を特別待遇と呼び替えたり、第12条の損害賠償を無制限の約定違約金と扱ったりしてはいけません。研修と特別待遇について別々に請求する場合は、金額の重複を除きます。

6. 従業員への請求前に検証できる資料を用意する

署名済み合意と変更、研修記録、項目別請求書と支払い、費用配分・返金の証拠、服務期間の日程表、退職通知、使用者の違反の主張に対応する記録を集めます。請求額、計算過程、除外項目を一つの明細に示します。海外資料は原本を保存し、紛争審査に向けて整合する中国語訳を準備します。

資料に基づいて支払いを請求するか、交渉するか、根拠不足の請求を控えるかを判断します。費用回収と退職事務は別です。第30条は適時・全額の労働報酬支払いを定め、第50条は労働関係の解除・終了時に証明書を交付するよう求めます。研修費用をめぐる紛争があるだけで、賃金や証明書を留保できるわけではありません。法律相談は研修、費用、服務期間、退職理由の非機密概要から始め、その後、人事資料の安全な共有方法を合意します。

法的根拠

公式法源 · 確認日:2026-10-02。翻訳は参考用であり、公式の法文ではありません。

中国本土に関する一般的な情報です。事実、適用時期、現地の規則については個別の検討が必要です。

潘建兴
潘建兴

北京市長安法律事務所パートナー
2019年から中国で弁護士業務に従事 · 北京・深圳

支払いを求める前に研修費用の請求を審査する

人事部門が返還を要求する前に、研修証拠、服務期間合意、退職理由、請求可能額を確認します。

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